同じカロリーなら、米と小麦ではどちらが安い?
1000キロカロリーなら小麦粉は米のほぼ半額。しかし、安いカロリーと安い食事は同じではない。胃袋と暮らしが開く、小さな経済会議。

同じカロリーを取るなら、米と小麦ではどちらが安いのだろう。
調べてみると、
炊く前の米は100グラムで約342キロカロリー。
小麦粉は約349キロカロリー。
ほとんど同じである。
ところが値段は違う。
現在の価格で1000キロカロリーを買うと、
米は約197円。
小麦粉なら約102円。
胃袋の会計担当者は、迷わず小麦を選ぶ。
ほぼ半額である。
では、明日から米をやめて小麦粉を食べれば、食費は大幅に安くなるのか。
そう簡単でもない。
米は水を入れて炊飯器のボタンを押せば、ごはんになる。しかし小麦粉は、袋から出しただけでは白い粉である。こちらを見ているだけで、まだ何者にもなっていない。
水を加えるのか。
こねるのか。
発酵させるのか。
焼くのか。
茹でるのか。
小麦粉は安いが、食事になるまでに企画会議〜製作工程までが必要だ。
米は、ほぼ完成品である。
炊き上がった瞬間、納豆でも、梅干しでも、卵でも、昨日の残り物でも受け入れてくれる。
最悪、塩だけでも一食として成立する。
小麦粉は可能性に満ちている。
だが、可能性に満ちたものは、
だいたい手間がかかる。
パンを作ろうとすれば、バターや卵や牛乳が参加してくる。気がつけば、小麦粉で節約するはずだった会議に、米より高そうなメンバーが全員集合している。
つまり、同じカロリーなら小麦のほうが安い。
しかし、安いカロリーと、安い食事は同じではない。
私たちは米を買うとき、342キロカロリーだけを買っているのではない。
「とりあえず、今日のごはんはこれで何とかなる」
という安心まで一緒に買っている。
胃袋は小麦を選び、
暮らしは米を選ぶ。
食卓とは、その間で毎日開かれている、小さな経済会議なのかもしれない。