ミュージシャンって、暇じゃね!!?
メジャーデビューした時、ある程度のお金を制作費としてもらい、ひとまず音楽だけで食べていける状態になった。 その時、私が最初に思ったこと。 「ミュージシャンって、暇じゃね!!?」 もちろん、音楽だけを作って生きていけるなんて、最高だと思っていた。 憧れていたし、実際それはありがたいことだった。 でも、いざそうなってみると、私はその“暇”に耐…
メジャーデビューした時、ある程度のお金を制作費としてもらい、ひとまず音楽だけで食べていける状態になった。
その時、私が最初に思ったこと。
「ミュージシャンって、暇じゃね!!?」
もちろん、音楽だけを作って生きていけるなんて、最高だと思っていた。
憧れていたし、実際それはありがたいことだった。
でも、いざそうなってみると、私はその“暇”に耐えられなくなった。
「曲を作っていればいいじゃないか」
そう思う人もいるかもしれない。
でも、曲なんて毎日何曲でも作れる。
アレンジもできる。
録音もできる。
ミックスまでやっていたら、毎月アルバムが一枚できてしまう。
しかし、メジャーレコード会社がそんなペースで作品をリリースできるわけがない。
契約もある。
スケジュールもある。
大人の事情もある。
つまり、自分の中ではどんどん音楽が生まれているのに、それを出す場所がない。
そして、他にやることもない。
これは、思った以上に不安だった。
私は、少なくとも人が一日どれくらい働かなければ生きていけないのか、その感覚はなんとなく知っていた。
一日を終えて、
「ああ、今日は何かをやり遂げたな」
と思えないまま眠ることが、どうにも落ち着かなかった。
それで、レコード会社を作ろうと思った。
自分の曲は契約上、自由には出せない。
でも、制作費で揃えたスタジオと機材がある。
それなら、好きなミュージシャンたちの録音やサウンドプロデュースはできる。
自分だけの音楽ではなく、
誰かの音楽も形にする場所を作ればいい。
そうして、有限会社カフェオレーベルが生まれた。
だから、ここで言いたいのは、
「ミュージシャンになれてよかった」
という美談だけではない。
私にとって、ミュージシャンはすごく暇だった。
そしてその暇が怖かった。
何もしなくても生きていけるように見える時間の中で、私は逆に、自分の手で何かを動かしていないと不安だった。
たぶん私は、音楽で食べたかったのではなく、
音楽を中心に、毎日ちゃんと何かを作っていたかったのだと思う。