ミックスは、小さい音でやります。
ほとんど囁き声みたいな音量です。 メーターを見なければ、本当に鳴っているのか不安になるくらい。 ……と言うと、ちょっと大げさですね。 正確には、普通にテレビを見るくらいの音量です。 昔は違いました。 大音量で鳴らして、「うお、迫力ある!」とか言いながら作業していた時期も、確かにありました。 でも、それがいつ頃までだったかというと……もう2…

ほとんど囁き声みたいな音量です。
メーターを見なければ、本当に鳴っているのか不安になるくらい。
……と言うと、ちょっと大げさですね。
正確には、普通にテレビを見るくらいの音量です。
昔は違いました。
大音量で鳴らして、「うお、迫力ある!」とか言いながら作業していた時期も、確かにありました。
でも、それがいつ頃までだったかというと……もう20年くらい前じゃないでしょうか。
今は深夜でも、延々と作業できます。
近所迷惑?一切ありません。
隣の部屋にちょっと聞こえるかもしれませんが、隣の部屋には誰もいない。
なにせ大きな田舎の家です。
音楽をやるには、だいぶ贅沢な環境です。
それでも、音は小さい。
なぜか。
理由はわりと単純で、
「小さな音でも感動できるバランス」を探すようになったからです。
大きな音で聴けば、だいたいのものはカッコよく聞こえます。
迫力も出るし、ノリも出るし、
「なんかグルーヴあるじゃん」みたいな気分にもなれる。
極端な話、
思いっきりヘタクソなミックスでも、
爆音で鳴らせば、それっぽく成立してしまう。
でも、現実はどうでしょう。
音楽が聴かれる場所は、
・スマホ
・車のスピーカー
・お店のBGM
・ちょっとくたびれたBluetoothスピーカー
──だいたい、そんなものです。
スタジオみたいな完璧な環境で、
等身大の音量で、正面から集中して聴いてもらえることなんて、ほとんどありません。
つまり、
音楽は「しょぼい環境」で聴かれる前提で存在している。
そう考えるようになってから、
ミックスの基準がガラッと変わりました。
小さい音で聴いても、
・ボーカルの存在が消えないか
・リズムの重心が感じられるか
・コードの空気がちゃんと伝わるか
そこに、ひたすら集中するようになった。
小さい音で成立しないバランスは、
環境が変わった瞬間に、あっけなく崩れます。
逆に言えば、
小さい音で「ちゃんと音楽になっている」ミックスは、
どこへ行っても強い。
迫力は、あとからいくらでも足せます。
音量ノブを右に回すだけですから。
でも、
小さい音で伝わる感情は、ノブでは作れない。
だから私は、今日も小さい音でミックスをします。
深夜の静かな家で、
ロックもグルーヴも感じさせないような音量で聴きながら、
「これ、ちゃんとロックでグルーヴしてるかな?」
と、自分に問いかける。
マスタリングまで仕上がって、
最後にAMATERASスタジオ長岡で大音量で聴く。
──これが、
ひとりで静かにガッツポーズをする、
勝利宣言の瞬間です。
そして、そんな必要に迫られて、自分で作ってしまった、 モニタースピーカーがこちらです。
AMATERAS 9080
http://www.cafeo.tv/Equipments/9080.html
制作環境AMATERAS STUDIO / AMATERAS SHOPhttps://amaterasshop.base.shop/