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やはりDJは強い。

週末はCoachellaを時々眺めていた。 観ていて思ったのは、数年前まであった「ヒップホップでなければダサい」みたいな空気が、かなり薄れてきたことだ。 いまはバンドもヒップホップもエスニック系もDJも、わりとフラットに並んでいる。ジャンルの序列が崩れてきたのだと思う。 それ自体、とても健全な変化である。 何のジャンルかより、どうその場を…

週末はCoachellaを時々眺めていた。

観ていて思ったのは、数年前まであった「ヒップホップでなければダサい」みたいな空気が、かなり薄れてきたことだ。

いまはバンドもヒップホップもエスニック系もDJも、わりとフラットに並んでいる。ジャンルの序列が崩れてきたのだと思う。

それ自体、とても健全な変化である。

何のジャンルかより、どうその場を成立させるか。どれだけ観客を惹きつけ、時間を支配できるか。そこが問われる時代になってきた。

その中で、とくに強かったのがDJ勢だった。

あらゆる音楽を素材として使い、その場の空気を読み、流れそのものを設計できる。

一曲ずつ披露するというより、時間そのものを編集している。だから、最新のDJプレイに身を任せていると、あっという間に時間が過ぎる。

逆にバンド演奏は、一曲ごとの区切りがはっきりしているぶん、今の感覚では一曲聴き終わるのも少し長く感じる瞬間もある。もちろん、それはバンドの価値が落ちたという話ではない。だが、巨大フェスの空間で観客の集中を切らさずに運び続ける力という点では、DJの強さが際立っていた。

一瞬の退屈も許さず、美しく完璧な流れを作る。

これは、いま音楽を届ける側にとって最も重要な能力のひとつだと思う。

もう、バンドかDJか、ヒップホップかロックか、という話ではない。

何を鳴らすかより、どう時間を運ぶか。

どうすれば観客を飽きさせず、気持ちよくその場に没入させ続けられるか。そこに、いまの音楽エンターテインメントの本質がある。

その意味でDJは、ただ曲を流す人ではない。

場を支配し、観客の体感時間までデザインする、きわめて現代的な表現者である。

ジャンルの時代は、かなり終わった。

いま問われているのは、何を演奏するかではなく、どれだけ美しく時間を支配できるかだ。

その点でDJは、いま確実に最前線にいる。