猫たちのためだけに借りていた部屋
東京には、猫たちのためだけに借りていた部屋があった。 綾瀬スタジオの上のフロアである。 普通、部屋は人間が住むためのものだが、あの部屋に関しては少し違った。 あそこはホイちゃんとピータンとショーちゃんの部屋で、私は家賃を払いながら、スタッフとともに、たまに出入りする管理人のような存在だった。 そのピータンとショーちゃんはいなくなり、残され…
東京には、猫たちのためだけに借りていた部屋があった。
綾瀬スタジオの上のフロアである。
普通、部屋は人間が住むためのものだが、あの部屋に関しては少し違った。
あそこはホイちゃんとピータンとショーちゃんの部屋で、私は家賃を払いながら、スタッフとともに、たまに出入りする管理人のような存在だった。
そのピータンとショーちゃんはいなくなり、残されたホイちゃんは長岡へ。
すると東京に、猫のいない“旧猫部屋”だけが残った。
そこで私は、東京滞在用に借りていた別の部屋を解約し、この旧猫部屋を片付けて東京出張所にしてしまおう、と考えた。
長岡スタッフのカジくんと車で東京へ向かい、一気に片付けと引っ越しを決行した。
私はこれまで数十個のルームスタジオを作ってきた。
だから散らかった部屋を見ても、ただ「大変だな」とは思わない。
「机はここ」「動線はこう」「視界のノイズはこれ」と、ほとんどミックスをするように考え始める。
部屋づくりと音づくりは、案外よく似ている。
そうして元・猫部屋は、なんとか人間の居住空間になった。
仕事もできる。泊まれる。しかも少しスタジオっぽい。
要するに、実に私らしい東京出張所である。
もともとは猫たちのための部屋だった場所が、これからは私の東京での拠点になる。
少し寂しくて、でもちゃんと前に進んでいる感じもする。
猫王国の跡地活用としては、なかなか悪くない。
私はまたひとつ、東京に“仕事もできて泊まれる、ややスタジオ寄りの謎空間”を増やしてしまったのである。hhhghghghghgh